認知症に備える!予約型代理人制度とは?
~大切な家族のために、元気なうちから始める財産管理の備え~
「親が認知症になったら、銀行のお金はどうなるの?」
高齢化が進むなか、こうした不安を抱えるご家族が増えています。
実は、認知症などによって本人の判断能力が低下すると、銀行での預金の引き出しや解約などが難しくなる場合があります。
たとえ家族であっても、本人に代わって自由に預金を動かせるわけではありません。
そこで近年、注目されているのが**「予約型代理人制度」**です。
今回は、将来の財産管理に備える新しい選択肢について、司法書士の視点からわかりやすく解説します。
■ 認知症になると、なぜ預金が引き出せなくなるの?
銀行などの金融機関では、預金者本人の財産を守るため、取引の際に本人の意思を確認することがあります。
認知症によって判断能力が低下し、本人の意思確認が困難になると、預金の引き出しや定期預金の解約などが制限される場合があります。
例えば、次のようなケースです。
- 親が認知症になり、介護施設への入居費用が必要になった
- 医療費を支払うために親の定期預金を解約したい
- 親の生活費を家族が代わりに管理したい
こうした場合でも、家族だからという理由だけですべての手続きが認められるわけではありません。
状況によっては、成年後見制度などの利用を検討する必要があります。
■ 注目される「予約型代理人制度」とは?
予約型代理人制度とは、本人の判断能力が十分にあるうちに、将来の金融取引を任せる代理人をあらかじめ登録しておく仕組みです。
例えば、親が元気なうちに子どもを代理人として登録しておけば、将来、認知症などにより本人が金融取引を行うことが難しくなった際、金融機関所定の手続きを経て、代理人が一定の取引を行えるようになります。
この制度の大きな特徴は、登録したからといって、すぐに家族へ財産管理が移るわけではないことです。
本人が元気なうちは、これまでどおり自分で預金を管理できます。
そして、万が一のときに、あらかじめ指定した家族などがサポートする仕組みです。
ただし、利用できる取引の範囲や代理人の条件、利用開始の要件は、金融機関によって異なります。
■ 成年後見制度とは何が違うの?
認知症への備えとして知られているのが「成年後見制度」です。
成年後見制度は、判断能力が不十分になった方を法律的に支援する制度で、財産管理や必要な契約手続きなどに対応します。
一方、予約型代理人制度は、主に契約先の金融機関における一定の金融取引を対象としたサービスです。
そのため、予約型代理人制度を利用していても、不動産の売却や各種契約など、金融機関のサービス範囲を超える手続きまで代理できるわけではありません。
また、将来の財産管理に備える方法としては「任意後見制度」や「家族信託」などもあります。
それぞれ目的や仕組みが異なるため、財産の内容や家族構成、将来の希望に応じた選択が大切です。
■ 大切なのは「元気なうちに準備すること」
予約型代理人制度は、原則として、本人が制度の内容を理解し、自分の意思で代理人を指定できる段階で申し込む必要があります。
認知症が進行してからでは、新たに登録することが難しくなる場合があります。
これは任意後見契約や家族信託などを検討する場合にも共通する重要なポイントです。
「まだ元気だから必要ない」ではなく、「元気な今だからこそ準備できる」ことがあります。
財産管理について家族で話し合うことは、将来のトラブルを防ぐ第一歩になります。
■ 司法書士が考える、これからの生前対策
将来への備えは、遺言書を作成することだけではありません。
相続が発生する前の段階から、認知症への備えや財産管理について考えておくことも重要です。
例えば、銀行預金については予約型代理人制度、不動産を含む財産管理については任意後見制度や家族信託など、目的に応じて適切な制度を検討することができます。
大切なのは、一つの制度ですべてを解決しようとするのではなく、ご本人の意思を尊重しながら、将来の生活と財産を守るための準備を進めることです。
司法書士は、成年後見、任意後見、遺言、相続登記、家族信託に関する法律面の相談などを通じて、こうした生前対策をサポートしています。
■ まとめ|「もしも」の前に、家族で話し合いを
認知症による判断能力の低下は、誰にとっても身近な問題です。
だからこそ、元気なうちから将来の財産管理について考えておくことが大切です。
予約型代理人制度は、そのための選択肢の一つです。
ただし、制度ごとに対応できる範囲には違いがあるため、成年後見制度や任意後見制度などとの関係も含めて検討することをおすすめします。
将来の安心は、今できる小さな準備から。
ご自身やご家族の財産管理、認知症への備えについて、不安や疑問がありましたら、お気軽に司法書士へご相談ください。

司法書士法人TKパートナーズ代表司法書士。司法書士・土地家屋調査士・行政書士・宅地建物取引士・測量士などの資格を有し、相続・遺言、不動産登記、商業登記、各種契約書の作成など、幅広い法務手続きを取り扱っています。愛知県知多郡東浦町を拠点に、専門的な法務情報を分かりやすく発信しています。
